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孫が生まれると判ったとき、世間では祖父母のことを「じぃじ」「ばぁば」と呼んでいることから、我が家では少なくとも、私のことを「和尚さん」と呼ばせようと思った。
決して私が「おじぃちゃん」と呼ばれること嫌ったからではない。お参りに来た子が、祖父母を「じぃじ」「ばぁば」呼び、祖父母も自分のことを「じぃじ」「ばぁば」と言っているのを、しばしば耳にしたからである。
また職業柄、葬儀に関わるわけであるが、葬儀屋さんに促されて、孫が「お別れの言葉」述べることがある。小学校低学年の子が「じぃじ」「ばぁば」と呼ぶのは可愛らしいが、時には大学生までがそう呼ぶのである。いささか幻滅を感じてしまうのは、私だけであろうか。
したがって孫が誕生したころは、何度か「和尚さんですよ」と、声をかけた。しかし、すぐにそれが無理であることが判った。赤ちゃんが、どのようにして成長していくか、そして言葉を発し喋べれるようになるのかの理解が必要であった。
赤ちゃんは生後2〜3ヶ月からクーイングと呼ばれる「あー」「うー」という単純な声を発し、さらに4〜6ヶ月ごろから、唇や舌を使って「ば」「ま」などの子音が混ざった喃語(なんご)を発するようになるという。
そしていよいよ2音の「パパ」「ママ」の登場である。したがって祖父母は、必然的に「じぃじ」「ばぁば」となるわけである。両親も子供ができると、夫のことを「パパ」と呼び、妻のことを「ママ」と呼ぶようになり、家族のなかでは永遠に「パパ」「ママ」の世界かもしれない。
アメリカでも親を呼ぶときは、日常会話ではMom(マムお母さん)やDad(ダッドお父さん)を使い、フランスでも両親を直接呼ぶときは、お父さんを「Papa(パパ)」、お母さんを「Maman(ママン)」と呼び、2音が基本となるのは万国共通ということになる。
母をマザーMother、父を Fatherと呼ぶ場合は、 少し堅い表現で、書類や改まった場面で使われる。日本での「父」「母」に近いものがあるといえよう。
親族に当たる人に呼びかける時に用いる語を「親族呼称」というが、相手や場所さらには、年齢や人間関係によって気を付けなければならず、なかなか難しいものがある。今流でいえば「その場の空気を読む」ということであろうか。
孫に「じぃじ」「おじぃちゃん」と呼ばれるのは抵抗がないが、息子(副住職)や妻に「じぃじ」「おじいさん」と呼ばれるのはいささか気分の良いものではない。あなた方のおじいさんは「極楽浄土にいますよ」と言いたいが、それこそ「偏屈じじ」といわれるので、言うことはしない。
妻は、特にお檀家さんの前では、わたくしのことを「住職」と呼んでいるようである。
小学校5年生になる孫娘が、ご飯のときに「じぃじ、ご飯!」というが、何か買ってほしいものあるときは「おじぃちゃん」と言うようになった。本人は気付いていないが、使い分けするようになったのである。
それに気がつき、今回のメルマガの題材となった次第である。
クーイング【cooing】
生後2〜3か月頃から聞かれる乳児の発声。舌や唇を使わず、続いて喃語(なんご)に移行する。
なん‐ご【喃語】
1 くどくどと話すこと。
2 男女がむつまじくささやき合うように話すこと。むつごと。
3 乳児のまだ言葉にならない発声。
しんぞく‐こしょう 【親族呼称】
親族に当たる人に呼びかける時に用いる語。「おじいさん」「おかあさん」「おじさん」「おねえさん」など。また、話し手と話題になっている人との間の親族関係や、話題になっている人の親族内部での位置を表わす語。「祖父」「母」「叔父」「姉」「孫」など。親族名称。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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