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梅雨入りをして雨の日が多くなったが、そろそろ梅仕事も一段落を迎える。梅仕事といえば、まず「梅干し」の漬け込みであろう。そして「梅酒」、「梅ジャム」と続くが、難易度が少し高くなる「青梅の蜜煮」も忘れがたいものである。この何年か、挑戦しつづけている一品である。
和食での甘味(スィーツ)といえば、コース料理の最後に提供される、初夏の「青梅の蜜煮」、秋の「栗の渋皮煮」、そして冬の「金柑の蜜煮」であろう。
お正月の「お節料理」に入れると、色映えもよく、作るのに手間がかかるだけに高級感がある。しかし意外と自作しているお店は、少ないように思える。理由は簡単で、どれも大変に手間暇がかかり、また経験も必要である。また、いずれも既製品が販売をされているからである。まさしく他のスィーツで済ましているようにも思う。三島の和食店で、自作でこの三品が用意されているのは少ないであろう。
ところで、この3種の甘味に共通していることは、いずれも材料を晒(さら)すこと、すなわち梅であれば酸味をまさしく程よく抜くことであり、栗であれば渋味を除くことであり、金柑であればやはり酸味の調節である。晒しが過ぎてしまうと、「青梅らしさ」「栗らしさ」「金柑らしさ」が損なわれてしまい、台無しになってしまうからである。
早速、「青梅の蜜煮」の作成である。まず数本の針を束ねて、梅の表面に無数の穴を開けていくのである。梅の数が多くなると、根気のいる作業であり、なかなか大変な仕事である。この無数の穴から、梅の酸味を徐々に抜いていこうというのである。
ところが、昨今では剣山の上を転がし、無数の穴を開けようというわけである。無論、真新しい剣山を用意する。ゆめゆめ、剣山本来の生け花に用いたものは、使わないのが良いであろう。衛生面を考えるのではなく、生け花に使われた剣山は、針の先が摩耗や変形していることがあり、開けた穴に大小が生じ、デリケートな梅の皮が破裂する頻度が高くなるからである。
ここから晒しとなる。まず水に漬け、さらに70℃ほどのお湯で煮こぼし3度して晒すのである。無数の穴から、すこしずつ酸味を抜いていくのであるが、抜きすぎると梅の風味が無くなってしまい、抜きが足りないと梅干しより酸っぱくなってしまう。人によって好みが分かれるところがあるが、程よい酸味に仕上げるのはなかなか難しい。やはり経験であろうか、一年に一度だけの仕事であるだけに、毎年微妙な違いがあり、それも次年度への挑戦の原動力になっていると思う。
ひとつ言い忘れていたが、鍋は写真にあるように、銅鍋が必要である。銅鍋で晒し始めた梅は、最初はいわゆる梅干し色になるが、三度晒し砂糖蜜に漬けるころには、少しずつ翡翠色(ひすい)に変わっていき、「青梅の蜜煮」の完成となるのである。
銅鍋の準備と初期投資も必要であり、技法もハードルが高いが、来年はぜひとも挑戦してほしいものである。
梅が破裂してしまっても、種を取り出し煮詰めれば、立派な「梅ジャム」である。
【銅鍋】
銅鍋を使って青梅を煮ることで、銅イオンと梅の成分が化学反応を起こし、鮮やかな翡翠色(青緑色)に仕上がります。料亭などでも用いられる手法で、甘露煮や蜜煮を作る際に欠かせない日本の伝統的な調理法です。銅鍋で青梅を鮮やかに仕上げるためのポイントや手順は以下の通りです。
銅鍋の効果とメリット鮮やかな発色: 黄色く変色しやすい青梅でも、銅鍋でじっくり煮ることで美しい緑色を保つことができます。
熱伝導率の高さ: 銅は熱伝導が非常に良いため、鍋全体に均一に熱が伝わり、梅にじんわりと火を通すことができます。
AI による概要
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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