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ふと玄関先に、1匹の蝉が死んでいた。そっと草むらに投げやった。死んでいるとはいえ、車に轢かれ粉々になってしまうのが嫌であったからである。
そういえば、年々蝉の鳴き声が少なくなったようにも思える。寺の周辺は、市街化調整区域であるので、いちじるしく市街化が進み、自然環境が変化したとも思われない。
毎年激化するような猛暑と蝉の大合唱が、真夏の到来を告げ、盛夏を迎えた思いと耐えがたい暑さとの混沌とした世界観がないのである。ただ猛暑だけの夏であり、蝉たちは何処へ行ってしまったのであろうか。五月蠅いほどに鳴く蝉の声がないと、一抹の寂しさを感ずる今日この頃である。
確定した情報ではないが、昨今の猛暑が関係しているという。地中の温度が急激に変化したことで羽化が狂い、また羽化ができずに死んでしまったのではなかろうか。さらには今年の空梅雨により、地中の乾燥がひどく、蝉の幼虫が地表に出られなかったのではなかろうかという。まことしやかである。
子供のころは、夏は虫取りが毎日の仕事であった。虫籠と虫取り網を買ってもらい、帽子を被っての出陣である。日曜などは父親に連れられての虫取り姿を目にしたが、我が家の父親はそのようなことはしない。父は本(Book)は充分に与えてくれたが、川遊びやキャッチボールそして虫取りとアウトドアでの親子の記憶は一度もない。ひとりでの挑戦であったが、寂しさは微塵もなかった。虫取りは、我が寺の境内地であったからである。
小学生低学年の子供には、そう簡単に捕まえることができるものではない。オシッコのシャワーを浴びるばかりである。捕まえた蝉は宝物であるが、次の日にはカゴの中でみな死んでいた。カラカラと捨てるのが嫌(いや)だった。たとえ虫とはいえ、その虫の死に関与することは快いものではなかったためであろう。また明日、「捕ればよい」と、籠から蝉を出した記憶がある。「蝉さん遊んでくれてありがとう」など、ヒュウーマン的な気持ちはなかった。「明日も捕まえてやるぞ」の気持ちであったように思う。
蝉も少なくなったが、蚊に刺されながらの蝉取りの子供もほとんど見ない。夏休み朝起きて、習い事やゲームであろうか。
今回のメルマガで、蝉がカメムシの仲間であることを知って驚いた。昨年から今年もカメムシが異常発生して、農家ばかりでなく市街地までの進入で大騒ぎである。わが願成寺菜園も例外ではなく、時にはナスやキュウリに連なっている。捕獲するといやな臭いを放つ厄介者である。
カメムシ目あるいは半翅目(はんしもく)は、昆虫の分類群のひとつで、口が針状になっているのが特徴である。カメムシのほか、タガメ、アメンボ、セミ、ウンカ、アブラムシなど、人間に関わりのあるものも多く、非常に多様性に富むという (ウィキペディア)。
蝉が私の心の中で、少し羽ばたいたかのようでもあるが、少年時代の思い出は揺らぐことはない。
70年も昔のことであるが、多くの家で犬を飼っていたが、おおかた放し飼いであった。ペルという名で、十`ほどの雑種である。おやつのサツマイモを食べるときはかならずペルを呼ぶ。犬も心得ていて芋のヘタと皮のご馳走にあずかるのである。
セミが最期を迎え、もう飛ぶことできず地面を転がっていると、わがペルは追いかけ食するのである。ご飯に味噌汁をかけた餌のペルにとって、貴重なタンパク質であったかもしれない。
【市街化調整区域】
市街化調整区域とは、無秩序な市街化の進行を抑制するために、建物や工作物の建築などが制限されている区域のことです。原則として、住宅や商業施設の建築は認められていません。 (AI による概要)
【カメムシの臭い】
カメムシの臭いは、刺激性のあるアルデヒド類を主成分とする分泌物によるもので、身を守るための防御行動や仲間への情報伝達に使われます。この臭いは、水に溶けやすい成分と油に溶けやすい成分が混ざっているため、普通に洗っただけでは落ちにくいのが特徴です。 (AI による概要)
【セミ】
蝉はセミ(虫+單・蝉)は、カメムシ目(半翅目)・頸吻亜目・セミ上科(Cicadoidea)に分類される昆虫の総称。「鳴く昆虫」の一つとして知られる。ただし鳴くのは成虫の雄だけであり雌は鳴かない。カメムシ目(カメムシもく)あるいは半翅目(はんしもく) Hemiptera は、昆虫の分類群のひとつで、口が針状になっているのが特徴である。カメムシのほか、タガメ、アメンボ、セミ、ウンカ、アブラムシなど、人間に関わりのあるものも多く、非常に多様性に富む。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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