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「御忌会(ぎょきえ)は春の訪れ。雪解けして漸く皆が集うことができるのですよ。」そう語るのは、北海道のお寺さま。先日4月中旬から下旬にかけて北海道の浄土宗寺院さまの御忌会法要に伴い、法話のご縁をいただきました。合計8ヶ寺のご寺院で法話を担当させていただき、法然上人のお念仏についてお取り次ぎをさせていただきました。
北海道は冬にホワイトアウトになると、右も左も上下もわからなくなり、自分がどこにいるのか把握できなくなり凍死する方もいらっしゃるそうです。そんな想像を絶する過酷な冬を越えての御忌会法要。お参りされる皆さまの穏やかなお顔は、雪を気にせずお寺へお参りできる春の訪れを表していました。
北海道は旭川から、美深、枝幸、紋別、網走、北見、釧路とお上人方が送迎をしてくださり、広大な北海道を移動しました。
その移動の際には、広大な水田に繁殖のため飛んでいく白鳥の群れを見ました。北に上がり、オホーツク海が見えた時には、その先には流氷がみえる知床が間近でありました。
ただ、海水の温度が上昇しているためなのか、毛ガニやホタテ、昆布などが昔ほどとれなくなってきているともお伺いしました。オホーツク海から今度は下がっていくと、一時は絶滅の危機であったタンチョウ(鶴)、広大な丘に気高くも感じる大きな鹿やドラマの北の国からを彷彿とさせるキツネを見ることができました。酪農の牛や羊は晴天の中草を食べていました。そんな景色を見ながらの移動の中で友人が熊に襲われたというお話をお上人からお伺いすると、森の茂みから出てこないだろうかと恐ろしくなったりもしました。
さらに釧路へ向かう際には、硫黄山や屈斜路湖、摩周湖なども立ち寄らせていただきました。空気が澄んでいる為か、自然の青や緑が鮮やかに見えるような気もしました。何万年も前に火山が噴火して、それに伴って湖ができる。その果てしない年月の循環に圧倒され「私たちはその何万年も続いてきた地球の中で、ほんの一瞬の命なんだな」と感じざるを得ない景色がありました。
そんな広大な自然を感じながら各お寺にてお念仏のみ教えをお取り次ぎさせていただいていると、法然上人のあるご法語が思い浮かんできました。
法爾の道理と云う事あり。炎は空に上り、水は下りさまに
流る。菓子の中に酸き物あり。甘き物あり。これらはみな法
爾の道理なり。阿弥陀仏の本願は「名号をもて罪悪の衆生を
導かん」と誓い給いたれば、ただ一向に念仏だに申せば、仏
の来迎は法爾の道理にて疑いなし。
これは「炎が空に燃え上がることや、水が下に流れていくこと、また食べるものに酸っぱいものや甘いものがあるのは、自然の道理であります。それと同じように、お念仏を申せば阿弥陀さまの来迎があることも自然の道理であります」という法然上人のお言葉です。
つまり、火山が噴火すると湖ができるように、お念仏を申せば阿弥陀さまの極楽浄土へ往生させていただけることも、いつまでも変わらない自然の道理であるということです。
広大な自然は「本来の生命の行く末」を教えてくれたような気がしました。自然の道理に任せて、阿弥陀さまの極楽浄土へ往生できるように、今からお念仏をおとなえして参りましょう。
海福寺 瀧 沢 行 彦
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